- インタビュー
- 中川運河キャナルアート実行委員会 実行委員長
- 一般社団法人中川運河キャナルアート 理事長
- 服部充代
- 服部・充代 (はっとり・みつよ)
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愛知県名古屋市出身
武蔵野美術大学を卒業後、商社系シンクタンクR&D室に勤務するが、自らデザインの仕事に携る夢を捨てきれず、ニューヨークへ。Parsons School of DesignにてInterior Design/Bachelor'Degreeを修得後、Clodagh Design Internationalにて、数々のプロジェクトに参加し、スペース・プランニング、インテリア・デザイン、特注家具、プロダクト・デザイン等に携わる。
2002年、NY同時多発テロを機に帰国。現在はlike air + water, co. ltd 主宰。
- なぜいま、「中川運河」なのか?
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まず、名古屋にこのような場所があることを知りませんでした。名古屋で生まれ、18歳まで名古屋で過ごし、その後東京、NYと移り住み、再び名古屋へ戻ってまもなくの頃。ある日の明け方近く、道に迷って偶然に見たことも無い水辺に出くわしたことがきっかけです。
「名古屋にこんなにも未知の可能性を秘めた、クリエイティブな感覚を掻き立てる環境があるとは!」。それを発見したときの驚きと、胸の高鳴りは、今でも新鮮に蘇ります。
- 「未完成な空間」だからこその面白さ!
- 時が止まったかのような運河の風景、その背後には、活性の象徴である高層ビル群が立ち並ぶ、都市の風景。そして運河沿いには倉庫郡が立ち並び、それをただ受け入れたかのように湛えられた水がある―。この風景の未完成さが、何か、アーティストやデザイナーの創造力を掻き立てるのではないでしょうか?美術館やホールのような設備の整った、予め用意された空間とは違う、自由な発想を誘う未完成な空間は、これまでとはまったく異なるアートの鑑賞の仕方を可能にしてくれると思うのです。
- 「機能性」よりも、「創造性」を
- これからの街に人が求めているのは、もはや機能性ではなく、創造性なのではないかと思います。「便利な街=住みやすい街」という価値観から変化して、「本当の意味での豊かな営みとは?」を問い直す時代に来ていると思います。名古屋は、そんな時代のパラダイムシフトに合った進化ができる街ではないか。 そう考えた時、外的な要素からではなく、市民1人1人がその内面から生きる活力を生み出せることの重要性を感じずにはいられません。 人に感動を与えることの出来る都市は、人々が住みたい・訪れたい都市へと繋がります。これからの真の国際都市には、「感性都市」であることが求められます。存在価値を見出されないまま放置されている名古屋のもうひとつの水辺空間「中川運河」に、アート/クリエイティビティー/環境からのアプローチによってスポットを当てることにより、名古屋が「感性都市」へと進化する。そのための舞台として、この水辺空間の可能性を広く多くの人々の共通認識へと高めていきたいと願っています。
- 今までの名古屋にない、「アートの発信」の場へ
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日本には、まだまだ可能性を秘めた若いアーティストを育てる環境が整っていません。彼らが自由に創造性を追及し、表現できる場も少ない。この中川運河の水辺が、クリエイティビティの拠点としてアーティストに開かれた場となっていってほしいと思っています。
この空間でしか感じられない感性を求めて海外からやってくる、あるいは日本から海外へ発信したいと夢を抱くアーティストやクリエイターが、自由に交流し、繋がる場へ。そして、そのエネルギーを人々が体感できる場として、今までの名古屋にはない、「これから」を生み出すクリエイティブな空間として、名古屋から世界へアートを発信していきたいですね。
人々がともに夢を抱き、参加しながら創り上げていく。それがいずれは、名古屋の誇り=シビックプライドへと繋がり、こころ豊かなまちづくりへと広がります。大きな運河の流れのように、これを実現させるために、皆さんと力をあわせて頑張りたいと思います。ぜひこの秋、「中川運河キャナルアート」を体感してみてください!